「弁護プラン: 職業安定法違反」について

職業安定法は,有害業務に就かせる目的での職業紹介,労働者の募集等を規制しています。

有害業務への職業紹介や募集での逮捕の事案が多く見られます。

職業安定法63条

次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

最近では,AV出演強要問題と関連して,AV出演を勧誘して逮捕された事例が多い。
その他,JKリフレ,ソープランド,風俗店への職業紹介をして逮捕された事例,風俗店へのスカウト会社が逮捕された事例などがある。

職業安定法上の「有害な業務」とは?

「有害な業務」とは,社会一般の道徳観念に反する業務をいい,労働者保護,善良な風俗の保護という観点から,判断される。

売春防止法に違反したAV,ソープランド,本番行為をする違法な風俗などが「有害な業務」にあたることは間違いないだろう。

これらのお店に女性を紹介するするスカウトなどが逮捕される事例が多いが,これは有害な業務への職業紹介にあたるからだ。

では,適法に風営法の届出を出しているデリヘルなどの風俗店に女性を紹介するスカウトはどうだろうか?

これについても逮捕事例がある。

なぜなら,このような適法なデリヘルも「有害な業務」にあたると考えられているからだ。

職業安定法の判例(神戸地判平成14年7月16日)

・事件の概要
被告人らが,被告人Aの経営する店舗型性風俗特殊営業である個室マッサージ店において,不特定多数の男客から対価を得て,手淫,口淫等の性交類似行為をするマッサージ嬢の業務に就かせる目的で,女性をそれぞれ勧誘したという職業安定法違反の事案について、公衆道徳上有害な業務であるとの認識、又その業務に就かせる目的はなかったとの弁護人の主張は理由がないとし、又弁護人の主張する罰金刑をもって処断すべき事案ではないとした上、情状を勘案して、被告人らに対し、それぞれ懲役1年6月に処し、刑の執行を猶予した事例

・補足説明
被告人両名は,前記「P」の経営者又は店長として,同店において,合計7室の個室を設置し,マッサージ嬢である女性従業員をして,各個室内で不特定多数の男性客を相手にお互い全裸になった上で手淫,口淫等の性交類似行為をする業務に従事させていたと認められるところ,前記業務自体が,婦女の人としての尊厳を害し,社会一般の通常の倫理,道徳観念に反して社会の善良な風俗を害するという点で,売春との間に実質的な違いは認められないこと,前記業務のような風営法所定の性風俗関連特殊営業は,同法1条所定の目的に照らすと,同法においても社会一般の道徳観念に反する行為であることが当然の前提とされており,職業安定法63条が専ら労働者保護を目的とする規定であることをも考慮すると,前記「P」における前記業務の実施自体が風営法所定の規制に違反しないとしても前記業務が職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当しないことにはならないこと等を総合考慮すれば,被告人両名の前記業務が職業安定法63条2号所定の「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らかというべきである。
そして,前掲関係各証拠によれば,被告人両名は,経営者又は店長として前記業務の内容を十分認識していたこと,被告人らは,女性従業員募集の新聞折り込み広告を掲載する際にも,前記「P」の名称や前記業務内容を全く明らかにせず,「応募秘密厳守」等と記載する場合もあったこと,前記広告を見た女性が電話で応募してきた際には電話では前記業務内容を説明せず,応募女性と直接面接するに至って,初めて前記業務を簡単に説明する等して前記業務に就くよう勧誘していたことが認められるところ,これらの事実を総合考慮すると,被告人両名において前記業務が公衆道徳上有害な業務であると認識していたと認めるに十分であり,これに反する被告人両名の前記公判供述はいずれも採用できない。
よって,被告人両名が公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で判示の各勧誘行為に及んだことは優に認められるのであり,弁護人の前記主張は理由がない。

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