「弁護プラン: 風営法違反、風適法違反」について

風営法違反、風適法違反

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反(風営法)で,逮捕,起訴される刑事事件について

風営法では,風俗営業や性風俗関連特殊営業などを規制しています。

風営法に違反した場合,逮捕,起訴されて刑事罰を受けるおそれがあることに加えて,指示処分,営業停止処分,風俗営業許可取消処分,廃業処分などの行政処分を受ける可能性もあります。

風営法では,「風俗営業」は,一般的にいう風俗店ではなくて,キャバクラやホストクラブなどの客を接待する飲食店,麻雀店やパチンコ,ナイトクラブなどの特定遊興飲食店営業などを指しており,風俗営業の許可が必要になります。

接待をしないガールズバーなどで,深夜も営業している店舗は,深夜における酒類提供飲食店営業として届出を出して営業をしています。これらのガールズバーなどが客に対して接待をしてしまうと風俗営業の許可が必要なのにも関わらず,許可を得ていないということで無許可営業の罪にあたってしまいます。

一般的な風俗店(デリヘル,箱ヘル,ソープランドなど)は,風営法では,性風俗関連特殊営業といいます。

性風俗関連特殊営業店は,無店舗型(デリヘル)と店舗型(ソープランド,箱ヘル)に分かれております。性風俗関連特殊営業では,キャバクラ等と異なり,許可ではなく,届出が必要になります。

風営法違反と逮捕,捜索・差押,起訴

風営法違反はキャバクラ,ホストクラブ,ガールズバーなどの店舗や,デリヘル等の風俗店が対象になることが多く,関わる人や資料が多いことから,逮捕される事例や捜索差押(ガサ)が行われることが多い印象です。

重要な証拠が店舗のパソコンや経営者や店長のスマホ等の携帯電話に入っていることが多く,これらの証拠の隠滅を防ぐためだと考えられます。

当法律事務所が担当した案件でも,最初は逮捕されていなかったにも関わらず,キャバクラの経営者がパソコンのデータを消去してしまい,その直後に逮捕されてしまった事例もありました。

初期段階から弁護士を入れて,警察と交渉をすることにより逮捕可能性を下げていくべきでしょう。

風営法違反については,その内容が複雑なケースも多く,担当の警察官も犯罪構成要件を正確に把握していないケースもあります。早期に風営法に詳しい弁護士に相談し,犯罪行為に当たらない場合には,しっかりと否認主張をすることにより不起訴を勝ち取れるケースもあります。

他方で,警察が長い時間をかけて内偵捜査をして事前に犯罪事実や証拠について掴んでいるケースもあります。

ただ,素直に認めて反省しており,前科がないケースでは,起訴されて裁判になることは少なく,略式起訴によって罰金処分となることが多いです。

罰金に加えて,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)に基づく没収保全命令が出され,最終的に売上金を没収されてしまう例もあります。

風営法違反の検挙数

令和3年5月における警察庁の発表によると、風営法・風適法違反の検挙件数は年々減少しています。

風営法の中で、検挙件数が他の類型と比較して多いのが、以下の3つの犯罪類型です。

  • 無許可営業
  • 客引き・つきまとい等
  • 禁止区域等営業

無許可営業は、ガールズバーやアフターバー・サパーが接待をすることにより無許可営業で逮捕されるパターンと名義を別人にして経営をしたことにより逮捕されるパターンが多いです。

なお、後者の場合、名義を貸した側は名義貸しで逮捕されることがあります。警察庁の発表によると、名義貸しの検挙件数は少ないので、前者のガールズバー等が接待をして無許可営業で逮捕されている事件が多いのでしょう。

客引き・つきまとい等については、路上でのキャッチ・客引き行為や、スカウト行為が処罰対象となっています。

客引きやスカウト行為については、各都道府県の迷惑防止条例違反で逮捕されることも多いです。

キャバクラやホストクラブなどの店舗が客引きを利用する場合には、風営法・風適法や、ぼったくり防止条例などで逮捕されます。

禁止区域等営業については、メンズエステの逮捕事例が圧倒的に多いです。メンズエステは性風俗ではなく、エステとして営業を行っている店がほとんどですが、サービスの内容が風俗的な行為である場合には、性風俗店であると評価されます。

そして、性風俗店が営業できる地域は極めて限られておりますので、禁止区域等で性風俗店を営業したとして、禁止区域営業等の罪で逮捕されるのです。

風営適正化法違反の検挙件数の推移
警察庁発表資料「令和2年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より引用

風営法違反の行政処分

令和2年の風営法違反の行政処分については、令和元年よりも1558件(29.7%)減少しております。

コロナウイルスによる自粛要請などが影響しているのではないかと想像しております。

多い類型としては、従業員名簿の備付義務違反、時間外(深夜)営業、変更届出義務違反、無許可営業などが多くなっています。

風俗営業者等に対する行政処分件数の推移
警察庁発表「令和2年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より引用

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