ピンサロの待合室で盗撮トラブル?!

風俗店で盗撮したら逮捕されるか?
弁護士 若林翔
2019年09月01日更新

今回の舞台はJR新神戸にほど近い三宮でのピンサロ盗撮トラブル。相談者がピンサロの待合室で店内の雰囲気を興味本位で撮影していたところ,黒服から別室に連れて行かれ「盗撮しただろ」とあらぬ疑いをかけられてしまった。
当然お店側はこんなときのために怖いお兄さんたちを常駐させており,相談者は恐怖心から盗撮をしたとの念書を書いてしまった。

しかし,翌日すぐに当事務所に相談しにきてくれたことで,即日解決金0円で示談できたという事案。

事案の概要

相談者は大阪に住んでいる40代の男性会社員。ピンサロなどの風俗店はあまり利用するタイプではなかったが,たまの息抜きにセクキャバやピンサロなどを利用していた。
というのも,ソープやデリヘルなどはそれこそ怖いお兄さんが出てきてイチャモンを付けられ高額な金銭を請求されそうだったから。
そんなトラブルには巻き込まれたくないということで,使うとすれば比較的安全そうなピンサロだったようだ。

その日も,3ヶ月ぶりのピンサロを利用したいと思った相談者は大阪から神戸の三宮まで足を運んだ。
ネットで調べて気に入ったお店に行った相談者であったが,実際にお店の中を覗くと思いの外オシャレで清潔感もあり,何の気なしにスマホで待合室を撮影していた。
本来であれば撮影なんてしないのだが,お店の内装が良かったことや,待合室に他の利用者がいなかったというのが理由だ。

相談者としても待合室を撮影することに違法性があるとの認識など一片もなく,そのためにスタッフが呼びに入ってくるまで撮影を続けてしまった。

相談者が店内を撮影していることを認識したピンサロ店のスタッフは,すぐさま店長を呼び出し相談者ともども別室に連れて行かれた。

いま,盗撮してたやろ?

まったく盗撮なんてしていません。待合室が綺麗だったので撮影していただけです,と相談者が説明するも怖いお兄さんたちは聞き入れる素振りすら見せない。
実際に撮影した動画を見せても素知らぬ顔だ。盗撮犯扱いされ取り合ってすらもらえない。

「とりあえず免許証やら身元が分かるモン全部出してもらおうか。」
「それからスマホも没収しとくわ。」

相談者は怖いお兄さんたちの言われるがままに,免許証保険証名刺スマホを差し出した。
さらに,「私はピンサロ◯◯(三宮店)で◯月◯日に盗撮をしました。」といった内容の念書まで書かされてしまった。
法律上,脅迫により書かされた念書の効力などは認められないのだが,別室で数人の男に取り囲まれた状態でそんな反論ができるわけがない。
「一刻も早くこの状況から逃げ出したい」と思う以外の思考は停止している。

罰金は外部の者に回収を委託しとるから」と店長から最後に告げられた後,相談者は店を出た。

スマホがないと日常生活すら送れないし,名刺も没収され会社バレした状態では寝るに寝付けない。そこですぐにネットで風俗トラブルに強い弁護士を検索し,当事務所まで相談に来てもらうことになった。

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24時間対応の無料相談

三宮から無事に家に帰れた相談者は,自宅のパソコンから当事務所を検索して電話をかけてきてくれた。今回の相談者はプライベートのスマホは没収されたものの,社用スマホがあったため電話自体はすることができたようだ。
もし,似たようなケースで電話が使えないということであれば,当事務所は東京大阪オフィスがあるため,仮に三宮近辺でのトラブルでも実際に来所での相談も可能となっている。

電話を受けた弁護士は相談者からトラブルの内容を詳細に聞くとともに,少しでも相談者の不安な気持ちを和らげようと努めた。

概要を聞いたうえで,相談者が最終的には何を望んでいるのかといえば,家族バレ会社バレしたくないこと,スマホを取り返したいことの2点に尽きるとのこと。
相手方に示談金としていくらか支払うことになってもやむを得ないとも。

その要望を聞いたうえで弁護士からのアドバイスは,
①すぐに弁護士から相手方に連絡をして,交渉の窓口を弁護士にすることで家族バレ会社バレのリスクは減らせる。加えて,口外禁止条項を載せて合意書を交わせば抑止力にもなる。
②相手方との示談にさいし,スマホ内の動画は弁護士自らが削除して相談者に渡すと相手方と約束をさせることで,実際に取り返すことができるのが風俗トラブルでの運用になっている。

たとえば,こういった交渉自体は自分一人でもできることは出来るのだが,そもそも相手方はこちらのことを盗撮犯扱いし信用していないため,こちらに有利な条件で交渉を進めることはまず期待できない。
そういった点から弁護士を付けることは,事件の早期解決の点からみても,相談者の2つの要望を果たすという点でも有効な手段になり得る。

弁護士のアドバイスと少しでも早くスマホなどを取り返したいという気持ちから,相談者は弊所に依頼し相手方との交渉を託すことになった。

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交渉の中身

依頼者と契約書を交わした弁護士はすぐにピンサロ店に電話を試みた。
当日中に店長との交渉が始まり,弁護士は相手方が何を望んでいるのか,こちらがどういった誠意を見せれば解決することができるのかを上手く交渉で引き出していく。

店長としても今回のようなトラブルで弁護士が出てくること自体が珍しいらしく,面食らっていた様子であった。
当事務所でもデリヘルの盗撮トラブルは多く扱っているが,ピンサロでの盗撮トラブルとなるとなかなか相談自体が少ない。というのも,ピンサロというのは店内が暗く上からスタッフが覗けるような半個室の構造であることがほとんどのため,隠れて盗撮というのが精神的にも物理的にも難しいからだ。(盗撮トラブルの解決事例はこちらから)

結局のところ,店長としても依頼者から謝罪をして欲しいと。
キャストが接客中に盗撮をしていたような悪質な事案でないことは共通認識になっていたようで,弁護士としても一安心だ。

その日は依頼者も体が空いているとのことだったので,弁護士とともに即日ピンサロ店に謝罪に伺うアポイントを取り付け三宮まで特急に乗った。

あらかじめ菓子折りを購入し三宮駅前で依頼者と待ち合わせた。
駅前のピンサロ店に行く前に,依頼者と弁護士で打ち合わせをする。相手方の要求と,依頼者がそれに対してどう応えればいいのかなどを弁護士が簡単にアドバイスをする。
今回は,盗撮犯扱いはされているものの,依頼者は実際にキャスト盗撮したわけではない。「あなたは何か悪いことをしたわけではない」と励まして2人でピンサロ店に伺った。

訪れた時間はまだ営業時間外だったため,店舗内は店長だけだった。
他に誰もいないというこで,件の待合室で話し合いが始まった。

店長のながいお説教

まずは,店長が依頼者のスマホをポケットから取り出して依頼者にロックを解除させる。
そして,店長の面前で撮影した動画を依頼者に削除させた。

店長いわく,「店で働く女の子たちに不安な思いをさせたくない。」とのことで,特に盗撮に対しては厳しく取り締まっているとのことだった。

当事務所でも何千件と風俗トラブルの相談を受けているためか,裏事情についてもかなり精通していると自負している。店長が女性キャストを思いやる気持ちも理解できる。

ピンサロというのは,いわゆるヌイてくれるサービスでありキャバクラやセクキャバとは明らかに一線を画する。
ピンサロといえど,キャストにとっては割が良いとは決して言ないこともあり,同じ抜きありのサービスならデリヘルの方が稼げるところもある。
そういった事情から,ピンサロはとにかく女の子を集めるのが大変なのだ。

せっかく働くことになっても女の子にはすぐにトバれるし,教育や広告にかけた費用の方が高くなってしまう。結局赤字になるなんていうこともよくあることのようだ。

店長はそんな裏事情を嫌というほど体験しているからか,待合室での依頼者に対するお説教も熱がこもる。

そんなお説教が終わり,店長が依頼者に対して,

今度同じことをやったら家族や会社など関係先にすべてバラす
・今後三宮周辺の夜のお店を利用するな

と脅しをかける。

依頼者としても今回のことがトラウマになり二度と三宮には近寄りたくないとのことだ。

依頼者に連絡するときは必ず弁護士の私にコンタクトをとってきてください」と店長に伝える。

「本人に連絡をとることはない。」
「あんたな,こうやって謝りにくるときは何か持ってくるもんやで。」

用意していた菓子折りを手渡す。
にやける店長。

こうして無事に現地での交渉は終わった。

示談金0円で解決!

謝罪の後に,店長からは免許証など依頼者の所持品一式を返してもらった。
今回はピンサロ店側も,盗撮の悪質性は高くないし,直接謝罪に来てくれた,ということで今回の件を穏便に終わらせると約束してくれた。

前日に書かされた念書も弁護士の前で破棄してもらい,事なきを得た。

ピンサロ店にも実害が出ていたというわけではないから,示談金0円で無事に解決することができた。

こうして依頼者は家族にも会社にもバレず,平穏な日常を取り戻すことができた。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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