デリヘルの本番トラブル解決事例【福岡編】

逮捕されたら
弁護士 若林翔
2019年09月28日更新

今回の相談者は福岡在住の30代男性。

福岡の最大の繁華街でもある中洲にあるホテルでデリヘルを利用したさいに,避妊をせずに中出しをしてしまったらしい。
よくあるデリヘルの本番トラブルだ。

その場では何事もなく終わったが,自宅に帰るとすぐに知らない番号からのショートメッセージが。

◯◯さん(相談者)が提示した金額に納得がいけば警察には行かない。」という脅迫まがいの内容だった。

警察に行かれてしまわないか不安に思った相談者は,すぐに当事務所まで相談しにきてくれ,解決金0円で和解できたという事案。

デリヘル本番トラブルの概要

デリヘル本番トラブルに巻き込まれてしまった今回の相談者は,福岡で生活しているごく普通の男性。

女の子と同意があったか定かではないが,避妊をせずに中出しまでしてしまったようだ。

避妊をせずに本番行為をするところまでは女の子との同意があったが,中出しまでは同意を得られていなかったのだ。

サービスが終わってホテルを出るまでは女の子から何も言われなかったようなので,女の子としてもいきなりのことでどうしたらいいか分からなかったのだろうか。

その後女の子が店に戻り,店長に本番トラブルがあったことを報告した結果,店長から連絡が来たという流れだ。

今回は,ホテルに店長が押しかけてきて念書を書かされたというケースではないため,会社の名刺や実家の住所が書いてある免許証など,会社バレ・家族バレの可能性は少ない。

しかし,携帯番号が知られてしまっているため,可能性としては少ないが相談者の個人情報を特定されるおそれがある。

関連記事:風俗トラブルは家族や職場にバレてしまうのか?

※携帯番号から個人情報を特定できるのは,警察や弁護士などの職種に限られている。探偵などが違法に特定するケースもなくはないが,このような本番トラブルではあまり聞かない。
むしろ,相手の風俗店が弁護士に債権回収として依頼したさいには,適法に個人情報を特定されてしまうかもしれない。詳しくはこちらの記事を参照。)

相談者は,店側に「自分で金額を決めろ」と言われたものの,本番トラブルの相場など知らないためデリヘル店の利用規約にある「本番行為に及んだら罰金200万円」という基準からしか判断ができない。
しかも,女の子が妊娠したかもしれないということでお店に出勤しなくなっており,お店と女の子両方の休業補償も請求されている。

どう対応したらいいか分からなくなった相談者は,何百件と風俗トラブルを解決してきた当事務所まで相談にきてくれた。

デリヘル本番トラブルの解決までの流れ

今回の本番トラブルをまとめるとこうだ。

・女の子と同意のうえで本番行為に及んだが,中出しまでは明確な同意がなかった
・お店側から誠意ある対応を見せろと言われている(要はまとまった金額を提示しろということ)
警察に被害届を出され,逮捕されるおそれがある
・デリヘル店側に知られている情報は,携帯番号のみ(サービス利用時は偽名を使っていた)

なかでも一番の懸念点は,やはり警察にいかれるリスクだろう。
ここを払拭するために,担当弁護士が相手方との交渉に乗り出した。

実際に弁護士がデリヘルの店長に電話をしてみると,相談者に対する態度とは打って変わって礼儀正しい対応だった。

店長の言い分も,当初は「誠意を見せろ」だったのが,弁護士が交渉に入ることにより「今日にも被害届を出すつもりだったが,女の子の検査結果が出るまで待つことにした。」と主張が変わる。

風俗トラブルあるあるだが,相談者には強気でも弁護士が入ることで相手の主張がトーンダウンすることはよくある。
デリヘル含む風俗店側も,全ての経営が法律上クリーンに行われているケースは多くない。そのため,本番トラブルの1つや2つで痛いところをほじくられたくないという思いがあるのだろう。

今回のケースも正にそれで,結局1ヶ月経っても店長からの連絡はなく,相談者への請求は事実上諦めたようだった。

相談者自身で店長と交渉をすることもできなくないのだが,あまりおすすめはできない。
やはり,相手方はこちらの弱みにつけこんで法外な金額を請求してきている。それをブロックできるほどには,こちら側はクリーンではないことが多い。
今回の事例でいえば,中出しの合意がなかったことによる警察へ行かれることだ。

そういった理由からも,デリヘルでの本番トラブルで弁護士に頼むことには有意義な面があることは間違いないだろう。

こうして,本番トラブルに巻き込まれてしまった相談者も,デリヘル店側に金銭を支払うこともなく警察に被害届を出されることもなく無事に解決に至ることがでいた。

【参考】デリヘル本番トラブルで問題になるポイント

他の風俗業態と比べて,デリヘルは特に本番トラブルに発展してしまうケースが多い。

というのも,デリヘルはホテルや自宅などの密室でサービスが行われるため,実際に本番行為があったのか,女の子の同意があったのか,という点の立証が非常に難しい。
そのような理由から,本番トラブルでの被害者とされる女の子の証言が重要になる。

デリヘルでの本番トラブルで問題になるポイントとしては,

・警察が介入するような事案か
・店から罰金などの請求がされているか

この2つに尽きるといってよいだろう。

本番行為のさいに,女の子からの同意がなかったとなれば警察に被害届を出されるおそれがある。
もし本番トラブルを起因とする被害届を出されてしまうと,最悪の場合「強制性交等罪」という罪で逮捕されてしまうことになる。

強制性交等罪に罰金刑はなく,有罪となれば5年以上の懲役刑が下されるおそれがある。

最近の改正で,フェラチオなどを同意なく強制しても同罪が適用されることになった。

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

引用|刑法177条

また,デリヘルでの本番行為は,大体のお店で禁止行為とされている。しかも,本番行為に及んでしまった場合には高額な罰金を請求されるケースがほとんどだ。

警察介入のおそれと店側からの罰金請求は,別々のものではなく不可分に絡んでくる事が多い。
今回のケースでもそうだが,もし罰金を払わないような男性利用客には,「払わないなら警察に行くぞ」という脅しが待っている。

店側としても,「被害届」を最大の切り札にして利用客を脅してくる。
捕まるかもしれないという恐怖心から,有利に交渉を進めることは難しいだろう。デリヘルの本番トラブルに巻き込まれてしまったら,すぐに風俗トラブルに強い法律事務所まで相談してほしい。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード