友人に頼まれて盗撮トラブルに巻き込まれ、罰金100万円を請求されるも5万円で解決した事例

風俗店で盗撮したら逮捕されるか?
弁護士 若林翔
2020年07月22日更新

このケースは友人からの依頼でキャストを盗撮してしまった。
それがバレて、罰金100万円請求された男性の盗撮トラブルである。

盗撮を行った経緯

相談者は、大阪に住む役所で働く20代後半の独身男性公務員。

相談者は仕事を終え久々に気分転換をしたいとデリヘルを利用することに。
帰路の途中の梅田で下車し、デリヘルをフリーで予約。
ホテルで待っていると、自らの好みにどストライクのキャストが来て、大満足で帰宅。

そして翌日、友人と飲んでいる際に、相談者は昨日利用したキャストがとても可愛くサービスもよかったことを話しました。
すると友人は「そんなにカワイイなら写真とか見せてよ」と。

そこでデリヘル店のホームページを調べてみるも、顔出しNGのキャストで写真は掲載されていませんでした。

それでも友人は諦めきれなかったのか「どうしても見てみたいから、今度利用するとき写真撮ってきてよ」とお願いされることに。
相談者はそこまで言うならと、軽いノリで「わかった わかった」と承諾して話を終えました。

それから数週間後の週末、給料も入ったこともあり、この前の友人との話も思い出し、デリヘルに電話して同じキャストを指名。
ただ恥ずかしさもあり、キャストに「写真を撮らせて」とは言い出せませんでした。

そこでサービス終了後キャストが帰る間際に、スマホをなにげに触っているふりをして、シャッター音が無音になるカメラアプリでキャストの顔写真を盗
しかしキャストに気づかれ、すぐにお店に連絡されました。
その後、すぐさまホテルにお店の人が来て事務所に連れていかれることに。

事務所では、免許証・保険証のコピー、名刺、そして写真撮影の証拠として相談者の携帯に映し出された盗撮写真とともに携帯の写真を撮られました。

そしてお店の責任者から「盗撮は違反行為だから罰金100万円」と。
その場を一刻も早くおさめたいと焦った相談者は泣く泣く承諾。

ただ手持ちがないことを伝えると、「明日電話するから必ず出ろ、出なければ職場に連絡して全部話すからな。あと、それまでにお金をかき集めておけ」と言われ、解放されました。

帰宅直後、たしかに盗撮はしたものの服を着ている状態での顔写真を撮っただけで、100万円も支払わなければいけないのかと思い始めました。

もっとも、もし支払わないとなった場合、携帯番号を知られていることはもちろん、免許証・保険証のコピーや名刺まで取られていることが不安でした。

疑問や不安を解消するため、ネットで調べてみると、盗撮トラブルをはじめとした風俗トラブルにつき無料相談対応をしている当事務所を発見。

お店の責任者から電話がかかってくる前に相談したいとのことで、朝一で当事務所大阪オフィスに来られました。

相談者より盗撮の事実確認と解決方法の模索

弁護士は、たしかに了承を得ずに撮影したという意味合いでは盗撮とはいえると。
しかしながら、迷惑防止条例で犯罪となる「盗撮」ではないことを説明。

具体的には、大阪府の迷惑防止条例において、「盗撮」の対象となるのは、衣服等で覆われている内側の人の身体や下着、衣服の全部又は一部を着けない状態であるので、衣服を着ている状態での顔写真は「盗撮」の対象外であると伝えました。

引用|第六条(卑わいな行為の禁止)

くわえて、「電話に出なければ職場に全部話す、金を用意しておけ」との脅し文句は恐喝に該当し得る行為とも。
したがって、相手方の請求を拒否することは可能と。

ただ一方で、迷惑防止条例で犯罪となる「盗撮」ではないにしても、弁護士の経験上、キャストやお店が罰金を請求する行動に出るところは一理あるとも。

というのも、今回のキャストのように顔出しNGの理由は、風俗で働いていることを他人に知られたくないからです。
にもかかわらず、このような盗撮を許してしまうと、キャストは何かの拍子でバレることが不安で辞めることも考えざるを得ず、そうなればお店としても大きな損害だからです。

それゆえ単純に請求を拒否してしまうと、キャストを守る気持ちが暴走し、相手の言うとおり職場に連絡されたり、ほかにはネットに個人情報を晒されたりするリスクが考えられることも述べました。

相談者は、友達に頼まれたといえども、自らの安易な行動を反省。
そして、罰金請求の拒否が可能なことも理解したが、キャストを不快・不安にさせたのは間違いないし、何より職業柄、職場への連絡や個人情報の流出リスクは何としてでも避けたいとのこと。
なので、いくらかの示談金でリスクを回避できる方法があるなら、ぜひともお願いしたいとのことでご依頼いただくことに。

方針としては、依頼者の要望に応えるべく、今回のトラブルや個人情報について職場をはじめどこにも口外しない条項などを記載した合意書の締結を最優先にしつつ、可能な限り示談金をおさえる減額交渉を行うことに決定。

 

盗撮トラブルについて弁護士によるお店の責任者との交渉

弁護士は、早速お店に連絡。

まず依頼者の代理人になった旨を伝えるとともに、弁護士が窓口となるので依頼者への直接連絡は差し控えてもらうようにと。
お店の責任者は、これについては了承。

そして事実確認として、たしかにキャストに無断で撮影したものの、着衣状態の顔写真のみであるので迷惑防止条例に該当する「盗撮」ではないこと。
また、罰金をちらつかせ職場に連絡する旨申し向けたことは、恐喝にも該当し得る行為と伝えました。

とはいえ、無断で撮影したことについては軽率な行動であったと依頼者に代わって謝罪。
ましてや顔出しNGのキャストに対してだったので、キャストが憤りを感じたことはもちろん、お店としてもキャストを守るがゆえの罰金請求であることは十分理解できるとも。

するとお店の責任者は、どのようなキャストに対して行った行動だったのか、また風俗店の経営や実態を理解しているうえで弁護士が交渉してきていると思ってくれた模様。

責任者は、顔出しNGを条件に何とか入店してくれたキャストだったとのこと、そして顔出しNGにもかかわらずリピート率も高い人気急上昇のキャストであると、それゆえ、今回の件をきっかけに辞められると、お店としては大きな痛手であると話してきました。

弁護士は、交渉をまとめられると感じ、示談し合意書を締結することはキャスト及びお店にとってもメリットがあることを打診。

具体的には、合意書には写真データの破棄条項にくわえ、相互に秘密保持や口外禁止条項も設けるので、当該キャストの顔写真が流出しないようにできると。
また、本件のトラブルにつき、互いに被害届や刑事告訴など刑事事件化しない条項も設定するので、罰金請求が恐喝として刑事事件となることもないと。

そのうえで、迷惑防止条例においての「盗撮」とはならないにせよ、キャストを無許可で撮影したこと、キャスト及びお店に対し不快・不安な気持ちにさせてしまったことは否定できないので、示談金5万円での解決はできないかと提示。

責任者は、お店としてはそれで問題ないが、キャストに確認するとのことでいったん話を終えました。

その後、責任者からキャストにも確認が取れたとのことで、合意書を締結。

請求された罰金100万円を大幅に減額するかたちで、事件は無事にスピード解決しました。

今回の事例に即した弁護士からのコメント

今回の事例は、盗撮をしたものの迷惑防止条例に該当しない「盗撮」であったという珍しいケースを紹介しました。

盗撮といっても、今回の事例のようにすべてが迷惑防止条例で規制されている「盗撮」に該当するとは限りません。また都道府県によっては、規制されている場所が異なることもあります。
これについては、詳細は下記ページをご参照ください。
関連記事:【風俗トラブル】盗撮と迷惑防止条例の関係【全国編】2019年最新版

ですので、そもそも盗撮すべきでないことは当然ですが、何かを撮影や撮影しようとした際に盗撮を疑われた場合には、自らの行為が迷惑防止条例に該当する「盗撮」かどうかは確認すべきでしょう。

また今回の事例は、弁護士および当事務所の経験・ノウハウから交渉がうまくまとまったケースでした。

交渉するにあたっては、具体的にどういったトラブルだったのかはもちろん、入手した情報を精査したうえで、相手方の状況や言い分の根拠・背景などを交渉前に推測しておくことが重要なポイントとなります。

今回の事例でいえば、顔出しNGのキャストに対する無断撮影であったがゆえ、そのデータの流出に対する不安からここまでのトラブルになったと。
具体的には、当該キャストの身バレ怖さによる退店の可能性や、それに伴うお店の損害が大きいのではと推測。

そして結果として、推測とほぼ変わらなかったため、キャストやお店の事情についても理解している弁護士であると責任者が判断してくれたことから、大幅な減額で交渉もまとまりました。

このように、同じトラブルや事件であっても、どのような弁護士・法律事務所が対応するかによって結果が大きく異なる可能性はあります。
その意味で、盗撮や本番をはじめとした数多くの風俗トラブルを設立当初から解決に導いてきた当事務所および弁護士の経験・ノウハウが功を奏した事例ともいえます。

最後に、今まで述べてきたとおり盗撮・本番などの風俗トラブルは、刑事事件化や家族バレ・職場バレなどに発展しかねないものですので、トラブルとなった際には遠慮なくすぐさま当事務所にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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